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イベントレポート

自治体DXを“人づくり”から支える
文京区と取り組む「実践型サービスデザイン研修」が生み出した変化

  • #自治体DX
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  • #人材育成
  • #共創が生む価値

人口減少や少子高齢化、行政ニーズの複雑化――。
自治体を取り巻く環境が大きく変化するなか、いま求められているのは、制度を正しく運用するだけでなく、住民視点でサービスを考え、改善し続ける組織への変革です。

DNPは東京都文京区とともに、こうした課題の解決に向き合うため、自治体職員向けの「実践型サービスデザイン研修」に取り組んでいます。

これは単なる知識習得の研修ではありません。

職員自身が住民や利用者の声に向き合い、課題を発見し、解決のためのアイデアを生み出し、試作し、検証する――。

日々の業務そのものを題材にしながら、サービスを生み出す力を育てる取り組みです。

部門を越えたチームによる共創

本プロジェクトの大きな特長は、DNPグループ内の専門性を横断的に結集したことです。

BPO(Business Process Outsourcing)事業を行う株式会社DNPコアライズが持つ現場業務の設計・運営の知見、情報イノベーション事業部 サービスデザイン・ラボの知見や、ICTアジャイル開発領域の実践経験を掛け合わせ、企画から研修、伴走支援までの機能を一体で提供しました。

サービスデザインとアジャイル開発

異なる専門領域を融合することで、アイデア創出にとどまらず、実際に動くプロトタイプをつくりながら学ぶ「実践型」のプログラムを実現しています。

本プロジェクトではDNPプラザ(東京・市谷)をはじめとするDNPのコラボレーション拠点も活用しました。参加者同士やDNPメンバーとの対話、アイデアの共有、試作・検証を行う場として、新たな気づきや挑戦が生まれる環境づくりを支えています。

“学ぶ”から“実践するへ”

文京区との取り組みは、サービスデザインの考え方を学ぶ基礎研修と、実務課題を題材にアイデアを具体化していく実践的な研修で構成されています。DNPプラザで基礎研修を実施し、その後の実務フォローアップでは、職員が実際の行政サービスをテーマに、“課題発見から、問いの設定、アイデア創出、サービス設計、プロトタイプ作成・検証まで行うサービスデザイン”のアプローチを体験しました。

この実践研修では、参加者が複数のチームに分かれ、それぞれ異なる行政サービス上の課題の解決に向き合いました。DNPのサービスデザイナーやアジャイル開発チームの社員が文京区の職員に伴走し、利用する生活者の声や現場での気づきを起点に、アイデアを可視化しながら検討を深めていきました。

3つのチームが向き合った現場起点の課題の解決

研修のなかで検討されたアイデアは、同じ「来庁者の待ち時間」に関わるものでも、背景とした課題や問いは異なりました。1つのチームは「待ち時間がどれくらいか分からない」という来庁者の不安に着目し、自分の情報端末で待ち状況を確認できる仕組みを検討しました。受付番号や待ち人数、手続きの進捗を可視化することで、来庁者が時間の見通しを持って行動できる状態を目指したアイデアです。

◯自分の情報端末で待ち時間が分かるアプリ

来庁者が自分の情報端末で受付状況や待ち時間の目安を確認できるサービスのプロトタイプ

別のチームは「どうすれば行列を解消できるか」という問いから検討を進めました。手続き内容によって必要な確認事項や処理時間が異なるにもかかわらず、同じ列に並ぶことで、短時間で済む申請の来庁者まで長く待つ状況が生まれていました。そこで考案されたのが、比較的短時間で対応できる手続きに特化した「クイック窓口」のアイデアです。申請内容に応じて窓口を分けることで、来庁者の待ち時間を抑えるだけでなく、職員がより複雑な手続きや確認業務に集中しやすくなる環境づくりにもつなげることを目指しました。

◯クイック窓口受付システム

短時間で対応可能な手続きを分けて受け付けることで、行列解消を目指すサービスのプロトタイプ

もう1つのチームは、文京区役所や分所にある子どもの預かり施設の利用状況に着目しました。複数ある施設のうち、利用者が特定の施設に偏り、一部の施設が十分に活用されていないという課題に対して、利用者が個々の施設の特徴や利用方法を理解しやすくなる案内ツールのアイデアを検討しました。

◯キッズルーム案内用チラシ

利用が偏りがちな子ども預かり施設について、個々の情報を分かりやすく伝える案内ツールのプロトタイプ

各チームは、ワークショップを通じてアイデアの解像度を高め、サービス画面のイメージや案内チラシなどのプロトタイプを作成。ロールプレイを行いながら、利用者と職員の双方の視点でサービスの流れを確認し、実務で使うことを想定した改善につなげていきました。

生まれた成果は「しくみ」だけではない

この取り組みの本質的な成果は、業務改善そのものだけではありません。

住民の声を聴く。課題の本質を捉える。自ら考え、解決策を形にする。

そうした経験を通じて、自治体職員一人ひとりが「サービスを生み出す力」を身につけていること。それが大きな成果となります。

既存の制度やシステムを使う側から、住民にとって価値の高いサービスを設計して生み出す側へ。

研修を通じて育んでいるのは、行政サービスをより良くするために挑戦し続けるマインドと実践力です。

持続的に価値を生み出す組織へ

変化が激しい今、自治体に限らず、多くの組織が変化への対応を求められています。

人材不足、業務の複雑化、DX推進などの課題に対し、新たな価値創造の必要性が高まっています。

さまざまな課題を解決するためには、新しい仕組みやツールだけでなく、「自ら変化を生み出せる人材」と「挑戦を支える組織文化」が欠かせません。

DNPは今回の文京区での実践を通じて、サービスデザインとアジャイル開発の力を活用した組織変革支援の可能性を実感しています。

今後は自治体だけでなく、企業をはじめとする多様な組織に対して、継続的な価値創造につながる人材育成・組織開発支援を展開していくことを目指しています。

DNPはこれからも、多様な人々との共創を通じて、社会や組織の変革を支援し、より良い未来づくりに挑戦していきます。

関連リンク

  • 未来のあたりまえをつくる。DNP
  • 市谷の杜 本と活字館

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